2019年06月25日

腱・靭帯のための栄養摂取 by Eric Hörst

ここ最近、Eric Hörstさんが盛んに広報しているPhysiVantage社のSuperCharged Collagenだが、主成分はコラーゲンペプチドで、ビタミンCとBCAA、トリプトファン、を配合している。狙いは腱・靭帯などの細胞外組織のための栄養摂取らしい。Ericさんのpodcastを聞いていたら、大体ポイントが理解できた気がするので紹介。

コラーゲンについては疑似科学的な評価も多く、眉に唾つけて聞かなくてはとは思いつつ、期待しちゃうよねぇ。

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クライマーにおいてトレーニングといえば、主に語られるのは筋肉であり、体系的な知見がまとまってきている。

一方、腱、靭帯などの組織については、体系的なトレーニングであったり、どのような栄養素をどんなタイミングで摂取するのが効果的かという知見はほぼ無かった。
ここ数年の研究が進んだことにより、細胞外組織においても筋肉と同じように、適切な負荷と栄養摂取により、より強い組織が再合成されるというエビデンスが出てきている。

・腱、靭帯などの細胞外組織は主にコラーゲンでできている。
・コラーゲンのアミノ酸成分はグリシン、プロリン 、ヒドロキシプロリンで、ビタミンCを補酵素として合成される。
筋肉組織は周辺に血流が豊富なので、運動後にタンパク質を摂取することで周辺の血管から再合成に必要なアミノ酸を取得できる。一方、細胞外組織は血流が乏しいため、運動後にコラーゲンとビタミンCを摂取しても、組織栄養が行き渡らない。
・細胞外組織は、負荷をかけると引き伸ばされ、負荷をゆるめると縮む。縮む際に、血流が組織に流れ込むので、負荷をかける(=トレーニングする)前に栄養を摂取して血中濃度を上げておくことが必要。
・研究では、負荷をかける30〜60分前に、グリシン、プロリン 、ヒドロキシプロリンを含んだコラーゲンペプチドとビタミンCを摂取することで、コラーゲン合成が2倍になった。

以上を踏まえ、ハングボードなどのトレーニングするにあたり、30〜60分前にSuper charged Collagenを飲むことで、より強く故障しにくい腱・靭帯を手に入れることができる。
ただし、ただのサプリメントであって医薬品ではなく、飲んだら故障が治る魔法のような製品ではないので注意。必要な栄養素とタイミングに加え、適切なトレーニングと、組織が回復するための充分な休養を取ることが肝要。
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podcastでは、休養期間、目的別負荷(リハビリ、トレーニング)、種目なども語られている。

なお、ここ数ヶ月の間に発表された研究成果も含み、検証が必要且つ内容が更新される可能性もある由。
posted by いーづか at 13:44| Comment(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月11日

限界レベルの課題のみにトライし続けないことの重要性

四十路に入ってから怪我が増えて回復が遅くなってきたので、トレーニングの強度やピリオダイゼーションを改める必要を感じている。クライミング誌で、長期的に、プラトーを避けて、コンスタントに成長していくコツが紹介されていた。


ポイントは、常に自身の限界100パーセントの努力が必要なプロジェクトに取り組むのではなく、限界の80パーセント程度の努力で達成可能なレベルの課題に継続的に取り組むのが効率的であるということ。100パーセントの課題だけに取り組むデメリットとして、以下が挙げられている。

  • きちんとスキルを習得することができない
クライミングはスキルスポーツであり、スキルの習得が肝要であるのに対し、限界100パーセントの課題だけをやっていると、失敗が多く積み重なるだけで、スキル構築には非効率。

  • 怪我をしやすい、バーンアウトしやすい
限界100パーセントの課題ではムーブのコントロールミスによる深刻な怪我や、慢性的な故障のリスクが高まる。また、精神的にも非常に集中するので回復に時間が必要で、バーンアウトする可能性もある。

なお、80パーセントの強度レベルとは具体的には、ルートであればデシマル表示で限界グレードのアルファベット一つ下くらい(限界か5.13aなら5.12d)。100パーセントの力を解放しないと登れないハードなプロジェクトにトライするのであれば、それくらいの強度の課題で3ヶ月くらい基礎を積み上げた後にトライするのがよいとのこと。

似たようなプロジェクト強度の選択基準としては、Eric Horstさんが提唱する10-4ルールなどもある(4日間10トライで登れないようなら、そのプロジェクトからは一旦離れる)。

posted by いーづか at 18:40| Comment(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月25日

繰り返し系デッドハングトレーニングの有効性

現在取り組んでいるbeastmakerのトレーニングプロトコルは、端的に言うと、繰り返し系のトレーニングだ。10秒程度のぶら下がりと数秒のレストを複数回繰り返すもので、Eric Horstさんのrepeatersプロトコルなどもこれに当たる。

これらの繰り返し系トレーニングは、最大筋力強化に有効と言われているが、以下の理由により、以前から自分の中でモヤモヤした疑問があった。

・複数回の繰り返しに耐えられる程度の負荷であるため、神経系の適応よりは筋肥大に効いてくる
・一方、デッドハングなどのアイソメトリック運動では筋肥大に寄与しづらい
・そのため、このトレーニングプロトコルは神経系の適応にも筋肥大にも寄与せず、最大筋力強化には非効率なのではないか(パワーエンデュアランス強化に有効)。


この疑問に対し、Eva Lopezさんの以下ブログ記事が、一定の疑問解消に役立ったので記しておく。

Why do intermittent dead hangs?

ポイントは、2.2. Strength Gains due to Structural Changesに記載されている以下2点。

・繰り返し系デッドハングトレーニングは、神経系の適応には余り寄与しないが、筋肥大をもたらす
・筋肥大はCTやMRIで確認しないとわからないレベルで、目に見えて腕が太くなったりしない


本記事が正しければ、きちんと筋肥大するので、ビルドアップ期は繰り返し系デッドハングトレーニングは有効と思われる。しかし、こればかりやっていたら神経系が適応せず、プラトーを迎えるはずだ。

神経系の適応に対しては、Maxhang(ぶら下がり可能時間10秒程度が限界の深さのエッジに、限界までぶら下がる)が有効で、これはわかりやすい。

冒頭の疑問に戻ってまとめると、以下のようになる。

・繰り返し系トレーニングは筋肥大をもたらすため、最大筋力アップに確かに有効だが、神経系の適応には余り寄与しないので、(例えば)beastmakerのトレーニングプロトコルをやり続けるとプラトーを迎える
・プラトーを迎える前に、Maxhang等の神経系適応プロトコルに移行するピリオダイゼーションを行うべきである。


比較的当たり前のオチだが、納得しないで行うトレーニングはモチベーションが上がらないので、ひとまず腹落ちして満足。
posted by いーづか at 12:45| Comment(0) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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